冠婚葬祭で欠かせないもの、それがパール(真珠)です。
現在、そのパールが高騰していることを皆様ご存じでしょうか?
今回は、高騰の理由と真珠を取り巻く状況をご紹介いたします。
原因1:稚貝の大量死
2019年にあこや貝の稚貝が大量に死滅するという被害が起きました。
国内有数のあこや真珠の産地である愛媛県宇和島市だけでなく、その被害は三重県、長崎県にも広がりました。
特に宇和島では9割の貝が被害を受けるという、まさに死滅状態に陥りました。
そしてその年だけでなく翌年も、そのまた翌年も同様の被害を受けました。
発生時は「謎の大量死」とされていましたが、その後の調査により「新種のウィルス」が原因であると特定されました。
現在は養殖場を移動させたりと対策を施してはいるそうですが、ワクチンが有効ではなかったりと未だにウィルス問題が収束に向かう気配はありません。
真珠は長い時間手塩にかけて育てられるもの。
養殖の場合1年から3年もの月日を費やしています。
すなわち今後数年の生産量が大きく減少することになったのです。
原因2:「爆買い」
そして近年になって顕著なのが中国の業者による買い占め。
以前から増えていた中国への流出。
そこにウィルス問題により価格が高騰したのですが、それでも中国がすべて買い上げるという状況です。
また本来は年4回開催の香港でのジュエリーショーが新型コロナウィルスの影響で開催されなくなり、
中国業者がショー以外の期間でもネットで買い付けるという方法に切り替えました。
これにより、日本においてはどのタイミングでも物がない…
あっても中国が不要と判断した品質の低いものだけが残されている…
という状況に陥ってしまっているのです。
現在
真珠価格は上記の原因により、完全に急騰状態にあります。
メーカーさんによると「高くても買えるだけまだいい、とにかく物が無い。」だそうです。
今後
ウィルス問題がどうなるのか不明ですが、完全に終息したとしても真珠の成長を考えると生産量が完全に戻るには数年かかります。
また、国内外を含めた買いだめ需要が落ち着けば、価格も供給も回復するかもしれません。
ただいずれにしてもここ数カ月、1,2年で元のような価格に…ということはほぼ考えられないと言ってよいでしょう。